また終わるために

いっしょにすごしたときめき

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

【小説】もう愛されないだろう

父親が、横たわってぐったりしている母親を足蹴にした。泣きつかれて、台所の床でぐったりした母親が、ぎゃっと声を上げて泣いた。 母親は夜中に私を置いて出て行った。部屋中の電気はついていて、充分明るかった。よそよそしい電灯の光に肌がひりつきそうな…

・・・・・・ささげる。

自分自身の心の平安のためには、家族との縁を切って、どこにも帰る居場所をなくしてしまうしかなかった。 私はもともと、ひとりだと思って生きてきた。見捨てられた人/子供だと。愛されることはないだろう、愛することはあるだろう。愛の弱者。 家族をささげ…

なにが私をここまで?

父親を裁く?それか、私は書きたいことで人の心を揺さぶる? 自分を掘り下げる?表現で世界を楽にする? どうしたいのだろう。作家はなりたくてなるものではないという言葉がある。目指すのではなく、むこうから次第にやってくる魔物のようなものだ、と。 私…

夏の忘れ形見、あるいは、夢の残骸、その呪い

父親が母親に暴力をふるっていた。父方の親戚一同が母親をリンチしていた、とくに去年亡くなった父方の祖母がその首謀者だったんだけど、私はいまだにその祖母が憎くて、死んだ後でも死ねと願うほどだ。記憶が忌々しいのである。彼女は死してやっと平和や平…