まきのまきなの喪日記
元気でやってますか? 私はあなたが去っていくのを引き止めることもせず、追いかけることもせず、ただ、あなたをいちばんに思って、もうここにいたらつらいだろうという推察から「わかった」と大人のフリして返事しました。 それが今大人の私に歪みをもたら…
今日と明日の2日間で今の職場を退く。 今朝の出勤には、『運命をさまよう』というタイトルの音楽を聴きながら家を出た。何度も巡り合い、出会い損ない、私はいつになったら私の望むしあわせを生きるのだろう?そんなまがい物の願いに爛れながら、今日も仕事。…
退職。 私の資格に見合った賃金を、必要な書類の入手がどうしても困難という手続き上の関係で、貰えないということがわかったから、決心は早かった。 綺麗な地獄とお別れ。今宵のプアーガールは私!明日は、今日の勇気を讃えるために、欲しいと思ったいちご…
いつか、私の渇きが癒えると信じて東京へ向かう。そこで待っている初対面の友人たち。と、いつも大阪に来てくれる同い年ドクター♂。 今回はワタクシからまいりますのよ。 東京の夜は星が見えないものの、人々の灯りで明るいらしい。私とあなたたちとの間の光…
自転車の後輪がパンク。携帯電話を失くす。お気に入りのイチゴのカップを割る。 どうしたんだ、どうしてだ、どういうことだ?人生からもう「マキノは降りろ」って言われてるんかな。神様、そりゃないぜ・・・・・・・なんとなく、ひとはこうしてこういうことが連続…
晴れた午後の4月おわりに、私は公園を歩いていた。美しさは私には響かなかったが、それはひとえに私が汚れているからであった。 ウォークマンで音楽を聴いていた、この世の真理が軽快に歌われるような、そんな音楽を。私はそんなに澄み渡った空のような中で…
英語が出来るようになりたい。 資格が欲しい。資格(化粧品検定1級と日本語教育能力検定)が欲しい。 ピアノをもっと上手に弾けるようになりたい。 合気道も、剣道も、上達して強くなりたい。夢の中で、いつも父親に怯えているから。 もっと人の役に立って、人…
夜くんはきっと来ないだろう。 私はきっと上手に正しいさよならが出来ないだろう。 夜くんで溢れる季節が私に復讐するみたいに訪れるだろう。私はその中を漂流するだろう……どこにもたどり着くこともなく。 今からすでにもう正しいさよならの仕方を知らない私…
私がだんだん欲張りになっていくのがわかる。相手の欲望が自分の欲望だなんて、嘘だ。私は私で相手の全てを望んでいるのだから。 憂鬱な気分で洋服をみていた。死にそうになりながら、コンビニで愛を探した。何も売られていない、全てがあるのに。私は世界か…
同じ部屋で2人だったのを、今身をもてあましつつたったひとりで暮らしていて、急に広い、急にひどい。 あのねえ、もともとは元彼の部屋だった場所が今は私の書斎なんですけども、壁にはられていた所だけ日焼けしていなくて、浮いているところがところどころ…
このところ元彼のことをよく考える。振ったのは私だが、思い詰めてしまっているのか、泣き出したくなる気持ちで心が揺らぐ。波立つ。涙の海。平静な水面を思い出が吹き荒れて、しばしさざ波。苦しい。もう二度と会えない人と場所に窓を開けて、未来と明日を…
本当いうと、この夜の空洞は元彼との思い出で埋めるためのものでないはずなのに、今日はとんでもなくそれらで占められていて、泣き出しそうになっている。 さびしい、彼の幸福が。私とすんなりいかなかった同棲を他の誰かとは上手くしている事実がさびしい。…
私はその場所に行きたい、生きたい、逝きたい。 私はその場所で、目覚めたい、眠りたい。眠る神と目覚めた人間に。 私はずっと見詰めては、さがしている、その場所を。 私には無いものなのかと絶望することが多いけど、完全に希望を損なうこともできず、願い…
私には母親がいつも罪悪感とみじめさを刺激するほど気の毒な存在だから、もうかわいそうなその人を認めるのはくるしいのである。 これ以上に母親のことをかわいそうだと思いたくないし、かわいそうである証拠をみつけたくもない。美しくてつよいは母親の姿を…
承前。 チェンジ実行男子の説教内容無さすぎてほんまなんの時間やったんやろなあと憤りが今になってかえってくるという。 「人生捨てたもんじゃない、の”じ”という字は、人生の字ですよね」とか言ってたかな忘れた笑。内容無さすぎて口の中の水分全部吸い取…
相席ラウンジにまた行ってきたんですよ。 今度はSNSで知り合った初対面の女の子と一緒に。 で、初めての店だったのでどんなんかなぁとか思てたら、まあさいしょは歳上でテンションも上でしんどいひとが来たんですね。自己開示する余地無いくらいその歳上男子…
元彼だったあの人にはもうすでに好きな人でも出来たのかな、と思い、ダイニングテーブルの椅子の方向を変えた。2脚ある椅子。これを丸いテーブルを挟んで向かいあわせでも、隣り合わせでもなく、少し斜めの横同士にした。テーブルを挟んで直角というか。丸テ…
あの場所から、靴下を贈った思い出がよみがえり、あの場所でその記憶がとじる。 私は元彼をほとんど思い出さないけど(というのも、その愛の綻びが見えていた記憶が強いから努めて憎しみを抱かないように、思い出を汚さないようにしよう、という防衛本能から…
失恋した、から、なのか私はバーで一人でカクテルを嗜んでいる。もう酔いはまわっていて……一人で飲むのは苦手だ……だからバーに来たけど、マスターによると21:00からでないと人はなかなか来ないらしい。困るな……もう怖くて、帰り道が特に怖くて、帰りたくなっ…
私はここで、独りの夜を埋める喪の仕事をするだろう。 私
わたしの悲しみは、苦痛や遺棄などの最上級ではないし、抽象的な典型のようなものでもない。それどころか、新しい型なのであり・・・・・・。 ロラン・バルト 【マキノ・マキナ】 新しい日の朝に気づくたび、悲しみも新たに用意され、更新される。だが、それはこれ…
――控えめでいるという勇気 ――勇気がないままでいるのは勇気があることだ ロラン・バルト 【ナレーション:まきのまきな】 たとえばあの人のTwitterをみると、すごくいいことが見つかって、それを記憶はするけど、記録(=いいね、とか)はしないでおくこと。…
黙ってなされる日常生活の価値観を共有すること(料理、清潔さ、衣類、美しさ、それから、品々の由来のようなものを管理すること)。それが、わたしなりのあの人と(沈黙の)会話をするやりかたであった。 ――そうするうちに彼女はいなくなってしまったが、今…
忘れるわけではない、だが、無気力な何かがあなたのなかに住みつくのだ。 ロラン・バルト 【まきのまきなからひとこと】 私は無気力な狂人なのだと思う。
わたしが驚く――ほとんど心配に(不安に)なる――のは、じつはこれは喪失ではないということだ(わたしの生活は混乱していないのだから、これを喪失のように語ることはできない)。そうではなく、傷なのだ。愛する心に痛い思いをさせるもの。 ロラン・バルト …
私の悲しみは説明できないが、それでも語ることはできる。「たえがたい」という言葉を言語がわたしに提供してくれるという事実そのものが、ただちにいくぶんかの耐性をもたらすのである。 ロラン・バルト そう、説明しているわけじゃないんだ、私も。ただ語…
喪は、変わることはないが、散発的であるとわかった。喪は摩耗しない。なぜなら、持続したものではないからだ。 会話の中断や、うっかりと話がべつのものにとぶことが、社交上の喧騒や不快から生じるときには、鬱状態はひどくなる。だが、そうした「変化」(…
喪失の結果がすこしずつ明らかになっている。(エクリチュール以外は)新しいものをなにも構築したくないということだ。友情、愛など、新しいものはいらない。 * 亡くなったときから、なにも「構築」したくなくなっている――エクリチュールはべつだ。なぜか?…
喪。愛するひとの死は、 ナルシシズムが強烈になる時期である。 そのあと、自由がすこしずつ鉛色になってゆき、悲嘆がすみついて、ナルシシズムは、悲しいエゴイズムや不寛容に取って代わられることになる。 ロラン・バルト 失恋は、恋愛におけるまがいもの…