また終わるために

いっしょにすごしたときめき

さびしさが凄まじくおそろしい場所

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眠りの浅瀬で、夢とうつつの境界にいた。現実の波が押し寄せるたびごとに、ちりりん、ちりりん、と音がした。まるで自転車のベルみたいに。波がいくつも押し寄せるつど、彼が恋しくなった。けども、ちりりん、という音がしては、もう彼は私のもとにいないという現実に引き戻されてはさびしさが凄まじくおそろしいのだった。

さびしさが凄まじくおそろしい場所。それは眠りの浅瀬。このままうずくまって小さくなっていく自分自身を感じながら、一生まどろんでいたかった。しかし、現実の刃が私に傷を作っては、そこから彼が染み込んで、痛い痛い痛い・・・・・・さびしいさびしいさびしい・・・・・・と、呼吸するごとに私が叫んだ。どうしようもなく、飛び出したくて、ただ走って、遠くへ突き抜けたかった。そうして、誰もいない、それこそ、孤独なんてもともとない誰もいない場所へ行きたかった。孤独は、ひとりじゃ感じられない。ふたりだったから私を彩る傷になっているんだ。