また終わるために

いっしょにすごしたときめき

実体のない不安

不安に駆られていて、私の敵や対象は正体がなく、その正体不明の相手と一人きりで戦っているかのような心細さをこのところずっと感じている。

ぼんやりとした不安か。芥川龍之介が言っていた。今ならそれで死にたい気持ちがよくわかる。あと、彼の、(なんて言っていたかな、)実体のない不安がずっとくっついててそれがなくなったらいいという言葉。それもなんとなくわかる。しかし、不安は消えないのである。あのとき、上司や会社の人間や誰彼にも言い返せなかった社交の中での言葉。その言い返せなかった、という事実が実体もなく不安のかたまり(それは空気のようだ)になって私にのしかかってくるのである。

なにか忘れ物をしてしまったかのような心配の感覚に少し似ている。くしゃみ、あくび、溜息、溜息、溜息、溜息。吐き出しても吐き出しても、不安は製造される、私の中で。みんな憎い。こんな風に私を仕立てた全員が憎い。