また終わるために

いっしょにすごしたときめき

薬と、彼と、お父様と、私と

彼はよくお父様を心配させては、お父様はそのふっくらと焼き上がりたてのパンのような父性で彼を受け止め、包み、支えている。私はあくまで血のつながりはない人間だから、羨ましくその様そうを見つめ、彼を少し恩知らずな素行の猫のようだと感じている。

こういう問題のひとつひとつ……例えば彼のODアディクション、例えば彼のリストカットアディクション、等々の事柄ひとつひとつを、彼のお父様は、息子から愛をためされているのだ、受けてたつ、という不敵の覚悟と、神々しいまでの優しさを持ち、示し、履行し、私はそれをひとつの奇跡だと思っているのだが、彼はいつそれを振りきる自分を走らせていくのをやめるんだろうか。立ち止まることは感性だ。そこに立ち止まらなきゃ、あるものまで見えずに通りすぎてしまう。一切が通りすぎてしまうところで、人生の味などないのさ。全力でこれを表現する彼。それをシーズニングする彼のお父様。私は?チューニングになるといいけど、わからない。