また終わるために

いっしょにすごしたときめき

矩形に揺れる影、人混みの中での

疲労が私にまとわりつくと、私は1人で人混みを歩き、黒い矩形の揺れる影を見つける。それは、私をよぎる。憎悪で見送る。ありとあらゆる人々の、黒い矩形が揺れ、命の灯火のような動き方をするが、私はどれひとつとしてそれらが憎くてたまらない。

私の額はまるで老婆のようだ……疲れきって、知りたくなかったことばかり味わって来た苦痛の表情がありありと浮かぶ。

憎悪の息がひゅう、と揺れる矩形につかまると、眼差しと、相手からのひゅう、という呼吸が帰ってきて、私はそれが怖い……だからって、憎悪はやまない。遺伝子だから。