また終わるために

いっしょにすごしたときめき

嵐の通り道

遠くの田舎の景色は、私に母親の胸の匂いを思い起こさせる。

高速道路をとりどりに行く車やトラックは、一体どんな使命や天命があって、どこに向かっているのだろう?時々大きな河が硬い公道を横たわって裂け出る。鏡のような表を陽の光が合図を送る。

晴れてよかった。今日、私はひとりじゃない。ただ、お母さんに会いたい。嵐の通り道みたいに私は家を飛び出し、また母親の胸に帰る。

嵐の女神。私のお母さん。

私の伯父が、近所の雑種犬を撫でていた。毎日可愛がっていたらしい。その伯父が、私の母親に私的な理由で凄まじい暴力をふるった。私の母親を「犬以下」に扱ったあの伯父を絶対にゆるさない。

嵐の通り道のような、私のこれまで。思い出すと、やるせなくて、胸が痛いのに、懐かしいあなたの匂いがする。

お母さんに会いたい。