また終わるために

いっしょにすごしたときめき

私、本当はもうあの人から傷つけられることすらないのだという現実にとても傷ついているという二重構造のややこしいパラドックスに陥っている。

だれかが「好きになるっていうのは帰ることに似ているんだ」と言ってて、じゃあ私は失恋しているからその帰る場所というのを取り上げられたことなのかな、雨、降りやまないかな、と思っている。傷つきやすいままでもいいから、あの人と一緒にいたかった。

好きになると、帰る場所がその人の胸のうちになったりするのかな・・・・・・そうして失恋は帰る場所を失うことなのだとすれば、家なんてない私はすでに生来の失恋者なんだ。雨がずっとやまない。そういう心もとなさのまま、現世で生きて、帰る場所をわびしく思っている。

雨に傷ついているんだ・・・・・・、あの人には傷ついて/傷つけられていない。私はそれがさびしくて、味のない渦を口に入れているみたいに、うまく呼吸もできず、言葉にもできない。