また終わるために

いっしょにすごしたときめき

愛について語るときに、喪についても、痛みについても、あの人についても

喪。愛するひとの死は、

ナルシシズムが強烈になる時期である。

そのあと、自由がすこしずつ鉛色になってゆき、悲嘆がすみついて、ナルシシズムは、悲しいエゴイズムや不寛容に取って代わられることになる。

 

  ロラン・バルト

 

失恋は、恋愛におけるまがいものの死だとは思うけれども、死に別れより生き別れの方が、つらい気がするんだよ・・・・・・なんかね、とくに家族とか、身内の人間とは、私個人の経験でいうと、同じ二度と会えないという状況でも、事情が違ってくると思うんだよね。

あの人は私の身内でも恋人でもなかったんだけど、喪はもたらされたな。私は、痛みを忘れるさびしさより、固有の痛みを抱いてついでにあの人の思い出も抱いていたい。たぶん、その願望が自分自身にナルシシズムをもたらすんだと思うんだけども、それは痛みが鮮度を失っているからかな、とも思う。そういうとき、二度と会えないことが自分に響いてくる。