また終わるために

いっしょにすごしたときめき

飲みのこしたコーヒーはだんだん冷えて、茶碗の底に後悔のやうに黒く残るの。それは苦くて甘くて冷たくて、もう飲めやしないの。(by:三島由紀夫)

叶うばかりが恋じゃない、わかってる。冷たく残っている、カップの底のコーヒーの跡みたいに、洗い流しにくくて、苦くて甘くて冷たい。

あの人は私が好きかどうかわからないらしかった。好き、と恋の告白をしといて、そりゃないよ、と言いたいけれども、リアルで対面してなかったからわからなくもない。しかし、好きかどうかわからないというのは、自分自身が相手のためにどれだけわが身を犠牲にできるかという問いを出会ってからすぐに考えすぎているまじめさが働いているのではなかろうか。それは嫌だ、まじめすぎるのはよくない。

もともと恋というのは頭の、脳のバグらしいから、そういうことを最初からまじめに考えるというのは(さらに相手にもそういうまじめさを要求するというのは)、そりゃうまくいかないよ、と思う。ロミオとジュリエットじゃないんだし。

私たちは間違った恋をしたけど、人生のあやまちそのものを犯したわけではなかった。

まあいいじゃないか、叶うばかりが恋じゃなし・・・・・・。