また終わるために

いっしょにすごしたときめき

死へと行進する心臓

植物には心臓(ハート)がない。咲いているだけで生まれては生きている。その様に心臓を持つ人間は、嫉妬せずにいられない。人間は、生まれて咲いているだけで、生きているわけにはいかないから。人間はいやしいから、動かずにはいられないんだ。

私の心臓(ハート)はどきどき、としている。夜眠ろうと枕に頭を預け、耳を押し付けると、不安を煽るかのようにどき、どき、どき……と、きこえる。森の奥でその長が唸るように。砂漠の星の瞬きように。私は死へと、まっしぐらに行進する心臓が妬ましい。生きている者は、自殺者へとたどり着けない嫉妬の念を抱く。私も例に漏れずそうなのである。

 


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花は、生まれて咲いて、輪廻のうちに転生する。人間もいつか、それが何かで証明されたらいい。