また終わるために

いっしょにすごしたときめき

【小説】愛を探し、会いに迷い、アイを知り ① ~伝聞と嘘と、本当の話~

まきのまきなは正直、愛をまっすぐに信じ、表現するマフィがうらやましかった。

私は嫉妬を知らないといいつつ、うらやましいという感情を知っている、そして私憤を義憤にするという作業をもしかしたら無意識に組み立ててしてしまっているのではないだろうか、といちおう胸を探ってみたものの、心当たりがありすぎて逆になにもわからなかった。

マフィはおそらく、眠っている、自室で。その間に私がヴィーと深く話したことが、わかってしまったら・・・・・・、私はどちらに傾くのだろうか、と考えた。マフィか、ヴィーか。どちらに独占欲を示すか?理性は呼びかける「マフィ」、しかし、よくわからない原始は呼びかける「ヴィー」。いや、私が本当に、掛け値なしで呼びたいのはどちらなんだ?これは、友情か恋情か、という問題ではない。はっきりいってしまえば、独占欲をどちらにみせるのが自分の”正しさ”になるのかという問題なのであった。

ヴィーは出かけてしまった・・・・・・、愛の話をすると、こんがらがって、いつもチャミスルというお酒を飲んで酔っ払う。私が飲んだことのないお酒の味を知っているヴィーと、そのハングルの言葉の由来を知っている私とでは、どちらがそのアルコールについて、商品について、知悉しているのか。

マフィごめん、とふいに謝りたい気持ちになった。いますぐマフィの夢の中にログインして、マフィに謝罪したい。ごめんなさい、と。「ごめんなさい、あわよくば私もヴィーと深い仲になりたいの」このエクスキューズは、とくにマフィに対して限った話ではなかった、まきのは、異性一般にたいして、いつもこういう心持を抱きがちだった。

「彼氏がいても、あなたと仲良くなりたい」

「おそらく私が結婚していても、私はあなたのものになりたい」

それは、バイ・セクシャルを公言するトモエに対しても、同じ感情を抱いた。

「トモエ、あなたは私と秘密を共有できるの?試していい?」いつも問いかけるような、見つめるような、ためつすがめつを押し殺してきたのだった。