また終わるために

いっしょにすごしたときめき

脳裏の桜、満開。

元彼だったあの人にはもうすでに好きな人でも出来たのかな、と思い、ダイニングテーブルの椅子の方向を変えた。2脚ある椅子。これを丸いテーブルを挟んで向かいあわせでも、隣り合わせでもなく、少し斜めの横同士にした。テーブルを挟んで直角というか。丸テーブルだから、角も何も無いものの。

元々は向かいあわせだった。けど、彼はもう私のもとをいなくなった人だから……。ふと、夕暮れの西日が明るいことに気づいて、春がもう来るのだなと考えた。時の流れは無情なほどあっという間だ。

私は私を蝕む関係や所属を断ち切ることにした。例えば、土曜クラスの英会話レッスン。例えば、水曜夜の日本語ボランティア教室。思い切って、心地の良いところを求めてみることにした。勇気を出した私にひとまず乾杯したい気分だ。

書斎と寝室を分けたのに、私は夕方になるとひたひたとやってくる孤独に負けてしまって、寝室で自分の不甲斐なさを持て余すのであった。隣同士あなたと私さくらんぼ。桜の季節には、いなくなった人々の過去で、私の人生は賑やかになる。年々賑やかになる私の脳裏。そこには、私を嘲笑う人もいる、意地悪く悪意を隠そうともせずむき出しにしてくる人もいる。

そういう人で、毎年賑やかな私の脳裏。春は、桜が満開だ。