いつか結ばれるより今会いたかったけど会えなかった人の影が、春の木々が芽吹く中を目を伏せて歩く私のまつ毛に滲む。どうしても私とは重ならなかった人たち。
一昨日の真夜中にやってきた春の嵐で干していた洗濯物が全てダメになってしまったけど、今日は晴れたからまた乾いた。私はそれを取り込んで、丁寧にたたみ、また着る。こうしてどんな悲しくてつらい思い出からも私は再生する。
すれ違って分かり合えないままの人は春の木漏れ日の中揺れている。私はそれだからこそ、歩ける、いや、歩かなきゃならないんだという気がした。