また終わるために

いっしょにすごしたときめき

愛(仮)

深い海

彼は静かな深い海の中で暮らしているかのような声で話した。時々感情のさざ波があって、それがより一層の静けさを際立たせる。 まきの、と私を呼ぶ。まきの。 僕は君がたまたまそこにいたから君を選んだというのではなく、君でないといけなかったんだ。 ほん…

また終わるために

喪う始まりと分かってるのにひとはそれにもかかわらず、誰かを愛するのをやめない。 誰かを求めることはすなわち喪うことの始まりなのである。なのに。 身体が愛が不足しているといってため息をもらす。こんなことばかりの人生で、他者に溢れている。いや、…

恋(いと)しさと、愛

愛すべき、と思ってその人を愛することにひとは興味を抱くだろうか……どちらかといえば、ひと目でこの人だ!……と、直観した相手を恋(いと)しがり、愛するのだろうと思うのです。 つまり、大抵のわれわれは、愛すべき、という志向の、"~べき"という愛に興味な…

さくっと、愛を

さくっと終わらせましょう、と言われてなにいってんだよ、と怒りたくなった。 というか怒ってゐる。私と彼氏の恋についての助言(のつもりのなにか)だったから。 むしろ聞いてみたかった、長年でも短年でも、恋や愛を”さくっと”終わらせるひとの人格を疑わな…

好きを隙のまま、梳(す)いていく

人からさよならされた時の呪いというものがあるとすると、それはその後も尾を引いてつい、相手を追いかけたい衝動に駆られることと、なおその後も相手への執着や愛情がくすぶってしまうことなのでないかと思う。なぜなら、その人は世界に1人しかいないオリジ…

本当に愛し始めること

眠れなくて、ペンを縦にしている。 誰かがいなくなると、どうしようもない隙間ができてしまうものだけれども、そしてその隙間は、いなくなったその人特有の形をしていて、誰にも埋められないものだったりするのだけれども、対象aに近似するその人を、不在に…

愛=I は、道徳を知らない

自己愛が足りなかろうが、充満してようが、他者を求める気持ちは破壊を含んでいて、愛とは脳のバグであり人生における事故に近いなとつくづく思う。 私をそこまで望んでくれる人に、何ができるかという視座はもういらなくて、一緒に死ぬしかその人には思いや…

私は君を愛している、しかし、

私は君を愛している、しかし、不可解なことに私が君の中に愛しているのは君以上のもの――対象「a」――なので、私は君を切り裂く。 ラカン

生きることの裂け目:call my name

表現/作品というもののいっさいは、生きることの裂け目みたいなものであり、そのタイトルは傷口なんだと思いました。まず表現/作品に出合うと、そのタイトルから入り、味わって、またタイトルに回帰するという点がまさにものがたりが傷口に回帰するのと同等…

たぶんさよならは永遠に

たぶんさよならは永遠にないのだろうな、喪=愛、とも言えるのだとすれば。 私の持論では、喪ってから人は人を真に愛し始めると思うので、だとしたらobsessionでも対象aでも、不在は天使だ。だからこそ実存のあるときに愛し損ないとしての愛しかなかったら回…