また終わるために

いっしょにすごしたときめき

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

沈黙の会話

黙ってなされる日常生活の価値観を共有すること(料理、清潔さ、衣類、美しさ、それから、品々の由来のようなものを管理すること)。それが、わたしなりのあの人と(沈黙の)会話をするやりかたであった。 ――そうするうちに彼女はいなくなってしまったが、今…

私は鏡と目が合って、にっこり頬笑む(あるいは、テュケーについて)

私の理解によると、ラカンのいうテュケーとは、”出会い損ないとしての出会い”なのであるが、そのことによる傷/痛苦をいやすには、また出会いなおす(しかしそれも出会い損ないとしての出会いになるのだが)のがいいのだと思う。 もう一度出会ったところで、…

止められない喪失

インターネットの不調でだいぶ書く間隔があいてしまったから、何を話したらいいか、自分自身と自分とに距離ができてしまった気分だ。 けれど、これだけはいえる。私がここに書き起こしている言葉は最近、あの人のことが多いしすべてかもしれないが、 ①あの人…

愛するということ

配慮と気づかいには、愛のもうひとつの側面も含まれている。責任である。今日では責任というと、たいていは義務、つまり外側から押し付けられるものとみなされている。しかしほんとうの意味での責任は、完全に自発的な行為である。責任とは、他の人間が、口…

たとえばの死

死ぬことは遠い未来にあるのでなく、最終的に待っているものではなく、私の手の中にあるというのが何となくわかってきた。 たとえばの死だけども、非常に衝動に近似した動機というか、それは"はずみ"でおこる事なんじゃないかと思う。たとえば……たとえば、駅…

途方にくれている

でもね、僕にはまだわからないんだ。僕は途方にくれている。母は僕のことを愛していたんだと君は言う。とても深く愛していたんだって。君の言うことを信じたいと思う。でもね、もしほんとうにそうだとしても、どうしてもわからないんだ。なぜ誰かを深く愛す…

飲みのこしたコーヒーはだんだん冷えて、茶碗の底に後悔のやうに黒く残るの。それは苦くて甘くて冷たくて、もう飲めやしないの。(by:三島由紀夫)

叶うばかりが恋じゃない、わかってる。冷たく残っている、カップの底のコーヒーの跡みたいに、洗い流しにくくて、苦くて甘くて冷たい。 あの人は私が好きかどうかわからないらしかった。好き、と恋の告白をしといて、そりゃないよ、と言いたいけれども、リア…

自由になる自由があるけど

あの人を喪った悲しみに明け暮れていたい。身を委ねていたい。そうでないと、私はさびしいきれいな地獄に幽霊のようにひとりだ。 あの人の痛みにとらわれていたい。それから自分自身が自由になる方法ならいくらでも浮かぶけど、私は……。

無気力な何か

忘れるわけではない、だが、無気力な何かがあなたのなかに住みつくのだ。 ロラン・バルト 【まきのまきなからひとこと】 私は無気力な狂人なのだと思う。

「そういえば、愛してる」

あの人が泣くくらいなら、私がいつまでも泣いていたい。あの人の代わりに私が涙を流す。そうすることで、泣き止んだ頃に「そういえば、愛してる」と思うのだろうと感じる、もちろん私があの人をね。 あの人はもう前を向いて、自分の意識がいつも通りに機能し…

生まれ出づる、思い出

あの人とイマカレは、この3か月前には、いったい何をあんなに込み入ったように話し込んでいたのか私にはわからない。 あの人が私に恋の告白をして、そのあとに、イマカレと話し合って、結局彼らは決裂して、たがいに(少なくともあの人はイマカレを)憎みあ…

あびるように読んで、書いて、聴く

韓国コスメって別格なんだ、と思いながらお金を払ったのだった。 寝過ごしたので、今日は習い事を休んでしまった。そのかわり、キラキラしようと思う。キラキラ!?

愛に平等は存在するのか

愛に平等は存在するのか。一途な愛を捧げることが愛の弱者となるならば、”愛”は”立場”という駆け引きなくして交わすことができなくなってしまう。 キェシロフスキ『トリコロール・白の愛』作品解説より

あやまちを犯すほうがいい

一瞬一瞬を充満させないままやり過ごすよりは、激しさと過剰の側に立ってあやまちを犯す方がいい。 スーザン・ソンタグ

愛する心に痛い思いをさせるもの

わたしが驚く――ほとんど心配に(不安に)なる――のは、じつはこれは喪失ではないということだ(わたしの生活は混乱していないのだから、これを喪失のように語ることはできない)。そうではなく、傷なのだ。愛する心に痛い思いをさせるもの。 ロラン・バルト …

季節にそそぐ思い出

どの景色やどの影をみても、猫にも、あの花にも、あの雲にすら、あの人のおもかげがみられて私はおかしい。苦しくてたまらない。 何が悪かったのか。この夜のとばりにさらわれそうな時間にはかならず鬱とともにそういった自問自答がやってきて、この部屋には…

くいちがう

僕が早熟を装って見せたら、人々は僕を、早熟だと噂した。僕が、なまけもののふりをして見せたら、人々は僕を、なまけものだと噂した。僕が小説を書けないふりをしたら、人々は僕を、書けないのだと噂した。僕が嘘つきのふりをしたら、人々は僕を、嘘つきだ…

両極から引き裂かれてyou,you,you

私はイマカレにとても残酷なことをしているなと感じる時がある。いつまでもあの人が運命の人めいて見えるから(会えないがゆえに、切り捨てられたがゆえに)、イマカレとあの人の間で自分の意識が引き裂かれて(どちらが正しいのか)、自分の意識が二分され…

運命の人に、出会わない。

出会い損ないとしての出会いは、テュケーと言われてたりする(私の解釈も入ってるけど)。この出会い損ないとしての出会い=テュケーによって手に入るものは何だろう。例えば不在。例えばオブセッション。例えば悲しみ、対象a、エクリチュールの快楽。私は…

君の中に、君以上のものを

私は君を愛している、 しかし、不可解なことに 私が君の中に愛しているのは 君以上のもの―― 対象「a」――なので、 私は君を切り裂く。 ジャック・ラカン

悲しみに生きること以外はなにも望んでいない

私の悲しみは説明できないが、それでも語ることはできる。「たえがたい」という言葉を言語がわたしに提供してくれるという事実そのものが、ただちにいくぶんかの耐性をもたらすのである。 ロラン・バルト そう、説明しているわけじゃないんだ、私も。ただ語…

記憶のほこり

ずっと気にしていても、なにもせずにおいてきた壊れたデジカメを、修理してもらいに持って出かけようかな、と考えた。 忘れようと心がけて、それでも引っかかっているもの・こと。そういうものがほこりをかぶって心の奥に残っている。ずっと留守番している子…

喪は摩耗しない

喪は、変わることはないが、散発的であるとわかった。喪は摩耗しない。なぜなら、持続したものではないからだ。 会話の中断や、うっかりと話がべつのものにとぶことが、社交上の喧騒や不快から生じるときには、鬱状態はひどくなる。だが、そうした「変化」(…

涙が出てなおのこと自分の悪いところが聞きたくなるんです

「私はとうとう辛抱しきれなくなって、先生に聞きました。私に悪いところがあるなら遠慮なく言ってください、改められる欠点なら改めるからって。すると先生は、お前に欠点なんかありゃしない、欠点はおれのほうにあるだけだと言うんです。そう言われると、…

新しいものを何も構築したくない

喪失の結果がすこしずつ明らかになっている。(エクリチュール以外は)新しいものをなにも構築したくないということだ。友情、愛など、新しいものはいらない。 * 亡くなったときから、なにも「構築」したくなくなっている――エクリチュールはべつだ。なぜか?…

花のような傷を持って、生まれた

喪に咲く花はリンボでしか咲かない。その美しさ、その香り、その光。花のような傷を持って、やってくるあの人。 何か言っている、わからない、と合図する。夢か、と分かる。静かで激しい孤独がやってくる。鍵のかからない密室に、夜がひたひたになっていく。…

世界が私を愛してくれるので

世界が私を愛してくれるので (むごい仕方でまた時に やさしい仕方で) 私はいつまでも孤りでいられる 谷川俊太郎 【まきのまきな副音声】 忘れるということは、きれいな地獄のようでほんとうにさびしいのだろう。忘れるということは、むごいことであり、と…

イヤイヤ、シブシブ、未練タラタラ、泣き泣き、セイセイするし、アキアキしたから、別れる。

ひとり去り、またひとり去り、いつか私の周りには誰もいなくなるだろう。記憶のなかだけが年々賑やかになり、別れたひとの顔や肢体や声が生々しくなっていく。ひとりで部屋にいると、つぎつぎと現れる過去のひとびとに茫然とすることがある。 「ローマの休日…

愛について語るときに、喪についても、痛みについても、あの人についても

喪。愛するひとの死は、 ナルシシズムが強烈になる時期である。 そのあと、自由がすこしずつ鉛色になってゆき、悲嘆がすみついて、ナルシシズムは、悲しいエゴイズムや不寛容に取って代わられることになる。 ロラン・バルト 失恋は、恋愛におけるまがいもの…

続・悲しくてかっこいい人

私の好きな/好きだった(過去形にしようとリハビリテーションしてんだよ)あの人は、20代前半にして好きな映画や好きな音楽がきちんと軸をもって出来上がっていて、そういうところとか本当に眩しい。 生い立ちは(はっきり言って)悲惨で、家庭に恵まれない…