また終わるために

いっしょにすごしたときめき

誰も知らない

ねえ、もちろん愛について、私は何も知らない。だけど、何もない何も知らない何も見つけられない状態に放り投げこまれるよりも、無味乾燥の地獄より、そんな清潔な地獄なんて嫌だから、今少なくとも、愛することで傷つきたいのかもしれないと思っている。

あの人は宛名のない手紙のように、家を探して居場所を尋ねているのかもしれない。あなたですか、あなたですか、あなたですか・・・・・・。違います、違います、違います。そういわれるたび、夢の大学進学へと力を出す決心と誓いをするけれど、その徒労ともいえる遠い遠い目標が、目くらましをして、「無意味なんです」と全人生を照らす・・・・・・それが怖くて、また宛名のない手紙のように、あなたですか、あなたですか、あなたですか・・・・・・。きっとそういう傷つき方と回復の仕方を学んできたのだろう、癖にしてきたのかもしれないな、とちょっと思った。べつに悪口ではない。たんなる特徴を述べただけ。

どこにも家なんてないんだ。私には少なくとも、枕するところもない。二人連れの孤独。こういうもので家らしい何かを形作っているだけで。

恋愛は少なくとも、ほっと安心して休戦する場所にはならない。二人で一つになれない崖があって、そこはキラキラ眩しいけれど、一つになって安心する場所にはなりえないんだ。

私は愛を知らない。けど、あなたも愛を知らない。誰も知らない、知りえない。