また終わるために

いっしょにすごしたときめき

私から嵐に飛び込んで

剣道を始めてみたのだが、とにかく3ヶ月はやってみようと思っているものの、ひとをバシバシしばくのが私には恐ろしいことなので、今日も「先生、すみません!」といいつつ、面を何度も本気で振りかぶってくりひろげた。その節はありがとうございます。

剣道には女性が居なくて、私1人だけだったので驚いたのだった。めちゃくちゃ浮いてる。道場はひんやりとしていて足元がひたりと冷たくなる。それでいて夏は暑い道着を被って動きまわる。よくやろうとこころみたな、私よ。

いつも夢を見るのである。私が実家にある旅行土産の父親の木刀で父親をうち付けようとするが、躊躇って逆襲されて恐ろしいうちで目が覚める。あの木刀で、父親を、私が、という暴力の夢は必ずこの取り合わせなのである。

道場の門下生のなかで最も強いのは、モリさんだと思う。まだ何も知らないのだけども、みていると1番洗練されていて、すぐに目につく。容姿も端麗だ。今日帰り際に靴下を探していたら、その爽やかモリさんが、「お疲れ様です」と、やはり爽やかに私に声をかけて下さったので、大変感動したのだった。気さくな方らしい……帰りは、モリさんのことを考えて、柔らかい春雨に打たれていた。目標を見つけた気がした……いつか、強くなる私。

るろうに剣心の漫画でも読んで剣気を高めようかと思った。モリさんは、言うまでもなく剣気があるから。 知らんけど。

私は春の雨が針ならいいのになと考えてみた。これで身体じゅう刺さっても、今なら別に構わない。そんな気分だった。